手話や字幕の付いたライブラリー作品を年間24本程度製作する。
(1)三重県内聴覚障害者関係の活動を収録した身近なニュース番組等の製作
聴覚障害者に関わる大会及びイベントの収録、手話サークル・要約筆記サークルの活動の収録、聴覚障害者の生活や活動を語っていただく企画など、個人や団体の活動を収録し広く県民への情報発信に努める。
(2)手話通訳者、要約筆記者の養成に係る教材の製作
手話通訳者、要約筆記者の養成では、その講習効果を高めるために、補助教材の役割には大きなものがある。日常的な医療場面、労働・相談場面や大会など、手話通訳者、要約筆記者に適した教材を活用することで、技術、知識の水準を高め、聴覚障害者が安心して依頼ができる手話通訳者、要約筆記者の養成をすすめていく。
自主制作作品の他、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターを中心とした、字幕ライブラリー共同事業により著作権処理を行った字幕入りVHSビデオテープ・DVDの領布を受け、聴覚障害児・者、手話関係者、要約筆記者及び関係団体等に貸し出すとともに、館内ラウンジでの上映も行う。
貸出事業は「三重県聴覚障害者向け字幕入り映像ライブラリー貸出事業運営要綱」(案)によって実施する。
(1)貸出方法
利用者は登録制とする。ビデオライブラリーを利用する場合は、登録申請書を提出し、登録後に登録カードを発行し貸出を行う。登録時に利用方法、利用上の注意をまとめた利用案内を配布し円滑な利用を促進する。また、支援センターのホームページからビデオライブラリーの作品リストを閲覧できるようにする。新着や話題性が高いと思われる作品などをホームページで紹介し、利用の促進を図る。
遠方の方や仕事などの事情で支援センターへ来られない利用者はメールやFAXで貸出申請が行えるようにし、手続きが済み次第、自宅へ郵送するサービスもする。送料は返送料のみ利用者自己負担にする。
(2)作品管理
順次作品リストを作成し、保有作品の公開をする。
社会福祉法人聴力障害者情報文化センターから領布された作品の有効期限が切れたものに対し、適宜廃棄または処理を行う。
(3)館内視聴
館内に視聴ブースを設置する。視聴ブースには視聴用モニター、再生機を設置する。再生機はビデオライブラリー作品に合わせて、VHSビデオテープとDVDの両方が再生可能な機器を設置する。
定期的にビデオ作品鑑賞会を計画し、聴覚障害者への情報保障を行い、生活文化の向上を図り、交流を深める場を設ける。
また、地上波デジタル放送字幕放送及びNPO法人CS障害者放送統一機構が製作する手話と字幕の番組「目で聴くテレビ」の視聴を行う。手話と字幕の番組「目で聴くテレビ」は財団法人全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会などが中心になり設立されたNPO法人CS障害者放送統一機構が製作しており、聴覚障害者が作り手となり、聴覚障害者が見やすい、分かりやすい番組構成となっている。また、地震等の大規模災害の際は、ニュース番組にリアルタイムで手話や字幕を挿入し放送される。
視聴ブースは、貸出用ビデオ試写だけではなく、字幕放送、CS放送の視聴の場としても活用する。
身体障害者福祉の概要や手話通訳の役割・責務などについて理解と認識を深めるとともに手話通訳に必要な語彙(文脈や状況に応じた手話や日本語)、手話表現技術及び基本技術を習得した手話通訳者を養成する。
聴覚障害、聴覚障害者、とりわけ難聴者・中途失聴者の生活及び関連する福祉制度や権利擁護、対人援助等についての理解と認識を深めるとともに、難聴者等の多様なニーズに対応できる要約筆記を行うに必要な知識及び技術を習得した要約筆記者を養成する。
(1)質的・量的に拡大する通訳需要に対応していくために、専門的な知識・技術を有する県内の手話通訳者及び要約筆記者のスキルアップ研修を行う。
(2)頸肩腕障害についての理解を深め、業務による発症の予防、発症時の悪化抑制および改善について啓発を行うための学習会を行なう。対象者は手話通訳者及び要約筆記者、盲ろう通訳介助通訳者とする
(3)手話通訳者養成課程を修了した者を対象に、毎年12月に開催される全国統一試験対策の学習会を行う。
聴覚、言語障害、音声機能その他の障害を持つ聴覚障害者と聴者の双方が意思疎通を円滑に図ることを支援するため、派遣依頼者の申請に応じて意思疎通を仲介する手話通訳者または要約筆記者の派遣を行う。
手話通訳者及び要約筆記者派遣事業について、まだまだ聴覚障害者や団体または企業に周知や理解がなされていないため、聴覚障害者の社会参加が進んでいない。そのため、派遣事業の概要、派遣の依頼から通訳派遣までの流れや派遣現場での対応などをまとめた派遣の手引きを作成、配布し、派遣事業の利用促進を図る。
手話通訳者及び要約筆記者の派遣については、派遣担当コーディネーター(担当職員)を配置し、適切な情報保障を行える者を派遣、また現場でより良い通訳ができる環境を整えられるよう、派遣依頼者との調整を行う。
派遣担当コーディネーターは派遣担当コーディネートに関する研修または学習会に参加し、コーディネートの質向上に努める。
(1)申請書の受理
手話通訳及び要約筆記者の派遣を必要とする者または団体(以下「派遣依頼者」いう。)から依頼を受けた支援センターは、担当者が派遣を必要と認めた場合、登録手話通訳者および要約筆記者の派遣について調整を行う。
(2)手話通訳者、要約筆記者の選定
派遣依頼を受けた後、手話通訳者または要約筆記者に打診を行い、派遣依頼内容に対し
て適切な人材を選定し、派遣を行う。
手話通訳者及び要約筆記者は下記のいずれかの条件を満たし、三重県に手話通訳者また
は要約筆記者として登録を行った者を派遣する。
1)手話通訳士
2)手話通訳者全国統一試験合格者
3)
三聴障協が実施するB級手話通訳者認定試験合格者
4)全国統一要約筆記者認定試験合格者
(3)手話通訳者、要約筆記者の決定
支援センターは派遣依頼者および団体または市町に派遣決定通知を送信する。
(4)報酬、交通費、必要経費の徴収及び支給
派遣終了後に手話通訳者または要約筆記者の報酬及び交通費、必要経費(事務、コーディネートなど派遣にかかる経費)を請求する。
なお、請求にあたっては「支援センター手話通訳者及び要約筆記者派遣事業実施要綱」に則して算出された額を請求する。
派遣した手話通訳者、要約筆記者への報酬、交通費支給については、通訳活動終了後速やかに活動報告書の提出を受けた後、支給をする。なお、支給にあたっては「支援センター手話通訳者及び要約筆記者派遣事業実施要綱」に則して算出された額を支給する。
手話通訳者及び要約筆記者の守秘義務は、依頼者と通訳者の信頼関係を保つ上での最低限厳守のものであるため、機会あるごとに守秘義務の重要性について説明を行い、守秘義務の徹底を図る。また、企業などへの派遣の際、守秘義務の遵守が特に求められる場合は守秘義務誓約書に誓約させた上で派遣を行う。
より良い派遣を行うため、派遣の課題、頸肩腕障害予防対策、研修等について協議を行い、事業に反映させることで、派遣事業のさらなる推進と円滑な実施を目指す。手話通訳部門、要約筆記部門を設け、各部門内に派遣事業検証班、健康管理班、研修班を設置する。班委員の構成は聴覚障害者当事者団体(一般社団法人三重県聴覚障害者協会、三重県難聴・中途失聴者協会)、及び情報保障当事者団体(三重県手話通訳者問題研究会、特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会中部ブロック三重県支部、三重県要約筆記サークル連絡協議会)から推薦を受けた者から、専門性、当事者性、年齢等のバランスを考慮して、支援センターが任命した者で構成する。委員には守秘義務を課し、個人情報の保護に努める。
手話通訳者、要約筆記者を対象に懇談会を行う。前年度の派遣実績報告、派遣で生じた課題と改善方法について説明を行うとともに意見交換を行い、より良い派遣と相互信頼関係の構築に努める。また、出席できなかった手話通訳者、要約筆記者には懇談会の記録や前年度の派遣実績報告、派遣で生じた課題と改善方法についての説明などを文書にし、配布することで手話通訳者、要約筆記者全体の情報共有に努める。
独自に派遣事業を行なっている市町で派遣の際、手話通訳者または要約筆記者が不足した場合、自主事業として当施設から手話通訳者または要約筆記者の派遣の支援を行う。
また、派遣コーディネートを行う設置通訳者が配置されていないため、派遣コーディネートができない市町には当施設が相談に応じ、助言を行なっていく、あるいはその市町から派遣事業委託を受けることで、県内の聴覚障害者のコミュニケーション支援及び、県内の市町の派遣が円滑に実施されることを目指す。
市町から派遣事業の委託を受ける時は、委託契約を締結し、年度末には派遣事業実施報告を行うとともに、必要経費(事務、コーディネートなど派遣にかかる経費)を請求する。
なお、請求にあたっては「支援センター手話通訳者及び要約筆記者派遣事業実施要綱」に則して算出された額を請求する。また、手話通訳者及び要約筆記者派遣事業の概要、派遣依頼から通訳派遣までの流れなどのイラストを使って分かりやすくした派遣パンフを作成、その市町の派遣依頼窓口または福祉課に設置し、地域の聴覚障害者へ派遣事業の周知を行い、派遣事業の利用促進を図る。
視覚と聴覚に障害を重複して持つ盲ろう者に対して、外出支援や意思疎通を図ることを支援するため、通訳・介助者の派遣を行う。
広く県民への周知と理解を促進するため、支援センターが発信するホームページ上に盲ろう者に関する情報を掲載し、啓発に努める。
盲ろう者は自分で通訳・介助者を見つけるのが困難なため支援センターが窓口となって、筆談、手話、触手話、接近手話、手書き、音声、点字など、その人に合った通訳・介助者をコーディネーターが調整し派遣する。また盲ろう者が他県へ行く場合は、訪問する県の窓口に派遣を依頼し、盲ろう者が目的地において情報保障および介助が受けられるようにコーディネートする。
(1)申請書の受理
派遣を必要とする盲ろう者は申請書に記入し、支援センターに送る。申請書は間違いが起こらないように書面で郵送またはファックスで受付とするが、緊急時の依頼についてはメールでも可能とする。
支援センターは、登録している盲ろう者が派遣依頼をスムーズに行えるよう、また派遣事業について理解を得るため、手引き書(申請書の書き方、センターの受付時間、申請書を提出し決定するまでの流れ等)を作成し配布する。また、現在登録している通訳・介助者にも派遣の流れや制度の周知を図る。
(2)盲ろう通訳・介助者の選定と決定
支援センターは盲ろう者の必要とするコミュニケーション手段の通訳・介助者に打診、調整し、結果を盲ろう者と通訳・介助者に通知する。派遣終了後、報告書の提出を受けた後、謝礼と交通費を支給する。
通訳・介助者は下記の条件を満たすものを通訳・介助者として登録を行った者を派遣する。
通訳・介助者として登録できる者は、県が実施する「三重県盲ろう者通訳・介助者養成研修」を修了した者、もしくはこれと同等の研修を修了したものとする。
a)情報支援機器の貸出
聴覚障害者のコミュニケーションを支援するため、情報機器を配備し貸出を行う。
・プロジェクター ・OHP(台付き) ・OHC(台付き) ・スクリーン
・磁気誘導ループ装置・受信機 ・ビデオカメラ ・三脚
新規機材については必要に応じて支援センターにて検討し、購入配備し貸出を行う。
b)日常生活用具の展示、紹介
聴覚障害者向けの日常生活用具や便利グッズを展示・紹介し、体験の場としてブースを設けるとともに、一部機器については貸出しも実施する。
補聴器、お知らせランプ、CS放送機材などの展示とパンフレットを置き、問い合わせがあった場合、職員が説明する。現物が展示されていない時は、カタログをお見せする。また、日常生活用具の居住地市町への申請手続きについて説明も行う。
詳しい説明を求められた場合、業者のいくつかを紹介する。支援センターは特定の業者に有利または不利になるような紹介は行わない。
c)各種相談の実施
聴覚障害者の日常生活に関する相談、補聴器など聞こえの悩み相談などに対応できるよう、センター長及び相談できる職員また専門家及び学識経験者による相談窓口を設置する。内容によっては関係機関への紹介など連携を持つ。また、地域の身体障害者相談員を活用し、定期的に相談コーナーを設ける。
d)生活訓練の実施
手話を用いない難聴・中途失聴者のコミュニケーション能力向上の一環として、日常会話で使用する簡単な手話や文字による伝達手段(要約筆記)を学ぶとともに、同じ難聴者の体験談を聞いたり、情報交換を行うことにより円滑に生活を送るための工夫や知識を得るため、難聴者・中途失聴者コミュニケーション教室を開催する。対象者は難聴・中途失聴者及びその家族などとする。
◎難聴者・中途失聴者コミュニケーション教室内容
・手話・読話・筆談などの学習(日常会話程度)
・難聴者の体験談
・補聴器や日常生活用具について
・コミュニケーション支援事業(手話通訳・要約筆記・ノートテイク等)の紹介や利用などについて
◎聴覚障害者が一般教養やさまざまな知識を身につけることで、生活を豊かにし、社会参加を円滑に行えるよう、セミナーを年に数回開催する。
(例)
・冠婚葬祭マナー
・身近な法律
・情報機器の活用(インターネット、スマートフォン等)
・身近な医学(高血圧、糖尿病、介護、認知症など)
e)各種情報の発信
上記のa、b、c、dについて支援センターのホームページ上で告知、周知する。基本的には月に1回更新するが、他に緊急性のある聴覚障害者の生活向上に関する情報があれば、すぐ更新し、告知する。
<聴覚障害者の安否確認及び避難所支援>
災害発生の際、市町との連携により聴覚障害者の安否確認を行うとともに、問い合わせ対応など、情報発信の拠点となる活動を行う。
また、避難所における聴覚障害者の情報コミュニケーション不足を解消するため、支援チームを発足させて巡回支援を行う。
聴覚障害者向けの救援物資について、地域行政や企業に聴覚障害者に必要な支援物資(補聴器の電池、コミボードなど)の備蓄、また災害時に提供を受けられる協定締結を働きかけ、災害が発生した時はそれらの支援物質の調達、受付をし、避難所に配布する。
◎市町との連携と災害時要援護聴覚障害者名簿の作成
災害発生時、聴覚障害者はコミュニケーションが取れない、情報にもアクセスしにくいため、避難所で孤立してしまったり、どこに行けば支援を受けられるかわからなかったりと、被災地で困難を強いられる。また、市町は障害者名簿を保有しているが、個人情報保護に関する法律の壁があるため、名簿の開示が難しく、それが災害発生時に安否確認や支援活動を難しくしている。
災害発生の際、早急に聴覚障害者への支援活動や安否確認を行うため、市町と災害時要援護聴覚障害者避難支援相互応援協定を締結し、聴覚障害者本人の了解を得るなどプライバシーの保護に配慮した上で、災害時要援護聴覚障害者名簿を作成し、厳重に保管する。
◎聴覚障害者災害支援サポーター制度の構築
災害時要援護聴覚障害者への救援活動において、救援活動・安否確認、迅速かつ適切に行うため、平常時から聴覚障害者関係団体、関係機関の協力を得ながら、個人及び団体の聴覚障害者災害支援サポーターの登録を推進する。また救援活動する場合においても、要援護聴覚障害者の居住地、避難所の所在地や危険箇所、救援活動経路など記入した防災マップを作成し、厳重に保管する。
◎災害時における安否確認と避難所支援の体制
災害発生の際、速やかに被災地の聴覚障害者の安否確認、避難所支援を行うため、聴覚障害者災害対策本部を施設内に設置する。救援活動に必要な情報提供を被災地行政、消防などと相互協力の元で行い、安否確認チームを各避難所や災害時要援護聴覚障害者居住地を巡回させ、安否確認や必要な支援を調査する。なお、避難所の聴覚障害者はコミュニケーションが取りづらいため、避難所に聴覚障害者への配慮など説明や協力を求め、理解を促進させる。また、要請があれば手話通訳者または要約筆記者を派遣する。
災害が甚大な場合は手話通訳者または要約筆記者が絶対的に不足することが考えられるため、全国規模で支援が受けられるよう、聴覚障害者関係の全国組織(全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国手話通訳問題研究会、全国要約筆記問題研究会、日本手話通訳士協会、全国聴覚障害者情報提供施設協議会、CS障害者放送統一機構など)に支援要請を行う。
なお、上記の活動が災害発生の際、スムーズに行えるよう、安否確認調査票・ニーズ受付票・活動報告書は平常時から一定量備蓄する。
◎地域の聴覚障害者団体の支援と連携
県内各地域に在住する聴覚障害者の社会参加を推進させるため、地域の聴覚障害者団体(余暇活動を目的とする団体も含む)の活動支援、相談を行う。また、孤立している聴覚障害者を支援するため、地域の聴覚障害者団体(余暇活動を目的とする団体も含む)の紹介など連携を密にし、聴覚障害者集団の活性化を図る。
◎手話及び要約筆記学習者の増加と地域の手話及び要約筆記サークルの活性化
県内各地域で活動を行っている手話及び要約筆記サークルの活動状況を把握し、リストを作成、それをホームページ等で周知する。一般の方に情報提供また手話や要約筆記を学ぶ機会を増やすことで、県内の手話及び要約筆記学習者の増加、また手話サークルの活性化を図る。